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  • 日本大学ドイツ文学科

ベートーヴェン生誕250周年



2020年12月16日は、ベートーヴェン250回目の誕生日です(*日付については、諸説あります)。数々の名作を残したベートーヴェンですが、私にとっての思い出の一曲といえば「七重奏 Op. 20」です。


学生時代に留学したフライブルクは、「黒い森」と呼ばれる地域にあるのどかな街でしたが、アマチュアオーケストラがとても充実していました。私はビオラという、たとえ音楽の国ドイツでも常に人手不足で、多少下手っぴでも大歓迎してもらえる楽器を弾いていたおかげで、いくつかのオケに所属してたくさんの貴重な経験をさせてもらいました。


ある時、オケで仲良くなった日本人がホルン吹きだったことから、ビオラとホルンが共演できる室内楽を演奏しようということになり、それがベートーヴェンの「七重奏」でした。

その楽器編成は、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ホルン、ファゴット!この7種の楽器奏者を集めることはなかなか大変なのですが・・・、誘ったドイツ人の答えは皆「Gerne!(喜んで!)」。あっという間に、7人が揃いました。


練習は毎回「Bier oder Wein?(ビールにする?ワインにする?)」と、一杯飲んでから始まるのですが、弾き始めるとドイツ人は真剣です。

「Du bist zu schnell!(君、テンポが早すぎるよ!)」

「Dein C ist zu hoch!(君のドの音は高すぎるよ!)」

容赦なくツッコミが入り、とことん話し合い、音を合わせていきます。

遊んでいるのだけれど真剣で、楽しみながらいい音楽を作っていく・・・音楽の最高の楽しみ方を教えてもらった気がします。



最後は、バイオリン弾きの自宅の庭で野外コンサートを決行!

住宅街の庭で突然(上手でもない)演奏が始まったら、苦情や通報の嵐になりそうですが、ご近所さんも2階のテラスから見守ってくれるという寛容さ・・・。


今年は、残念ながら様々なコンサートが中止となりましたが、その分自宅で、ベートーヴェン生誕250年を祝してたくさんの音楽を聴きました。フランス革命・ナポレオン戦争の時代を生き、難聴にも苦しんだベートーヴェンには、苦悩のイメージが付きまとい、重々しくメッセージ性の強い音楽が多いのですが、若いころに作られた「七重奏」には軽快で優雅な響きが溢れています。この曲を聴くといつも、あの日々が鮮明によみがえり、ベートーヴェンが心を癒してくれます。


(文責:横山)

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